机上査定と訪問査定のメリットとデメリット
2021年5月7日
住まいの売却を検討しているお客様から「机上査定と訪問査定では、どちらが良いですか」と、よく質問を受けます。
どちらも一長一短で、どちらが良いとは一言でお答えできません。
そこで今回は、机上査定と訪問査定、双方の違いやメリットとデメリットについてご説明します。
売却の時期で適性を判断する
お客様からご自宅の査定のご相談をいただいた場合、まず、売却したい時期をお聞きします。
早い時期の売却を希望している場合、実際にご自宅にお邪魔して細かくお部屋のコンディションを確認した上で金額を出す『訪問査定』になる場合がほとんどです。
一方、それほど急いではおらず、たとえば、「来年、もしくは再来年に住み替えを検討している」というお客様の場合、「わざわざ家に来なくてもいい」と言われることが多くなるため、周辺の取引事例や成約事例から導き出した金額でレポートを作成する『机上査定』になります。
机上査定の場合
机上査定では、具体的にはまず、所有者の権利関係を調査します。
「誰が所有しているのか」というところから、法務局に出向いたり、最近ではインターネットで謄本を取得して、正確な土地の大きさや建物の大きさ、築年数を調べます。
最低限これらを調べないと金額を出すことができません。
つまり、机上査定は謄本の情報が基になるわけです。
このほか、必要な場合は測量図や建物の図面を入手します。
また、最近はGoogleの「ストリートビュー」で、自宅に居ながらにして現地の様子がよくわかるようになりました。
敷地が傾斜地なのか否か、道路からフラットなのかなど、現地に行かなくともある程度わかります。
このため、机上査定も以前より実際の取引により近い金額を算出できるようになってきていると言えるでしょう。
訪問査定の場合
マンションでも戸建一軒家でも、外から見た場合と中を拝見した場合では大きな違いがあることが少なくありません。
「築年数の割には部屋のコンディションが悪い」などはその最たるもの。
もちろん、「築年数の割に状態が良い」という逆のケースもあります。
たとえば、売主様がすごく綺麗好きで掃除をマメに行っている場合、平成初頭に建てられた物件なのに部屋の中がとても良い状態に保たれているケースがあります。
逆に、小さなお子さんが3人いらっしゃる、犬や猫を飼っているといった場合、爪を研いだせいで柱がガリガリになっていたり、お子さんの落書きや穴が開いていたり。
そういったコンディションは、部屋の中に入ってみないとわかりません。
訪問査定では、実際に現地に足を運び、立地や周辺環境はもとより、建物や部屋の状態を確かめた上で算定するため、正確な金額が提示できます。
あまりにもコンディションが悪く、リフォームが必要と判断した場合、建物の評価額が下がるのは避けられません。
その物件を購入した人が直さなくてはならなくなるため、その分を割り引いた査定額になるからです。
具体的には、机上査定で算出した金額に対して、200〜300万円は変わってくる場合があります。
まとめ
査定の精度という意味では、机上査定ではわからない部分があるため、訪問査定に軍配が上がります。
とはいえ、前述のように、ストリートビューの登場などによって机上査定の精度も向上していますから、大いに参考になるはずです。
ただし、ストリートビューにも弱点はあります。
ストリートビューは私道に入っていけません。
そのため、私道に面した物件について知るには以前のように限界があります。
したがって、土地の平米数はそのまま有効宅地となっているのか、裏に山があり擁壁があるのか、地下車庫になっているのかといった状態は現地に行かないとわからないわけです。
机上査定の場合、ストリートビューで見られる、見られないで精度が大きく変わってきます。
そのあたりの事情を頭に入れておくといいでしょう。
以上のことから、数カ月以内に売却を検討しているお客様は訪問査定をお勧めします。
一方、来年や再来年の住み替えを検討しているが、目安として現在の金額を知っておきたいというお客様は机上査定で良いと思います。
住まいの査定について不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。