「確定測量の必要があります」と不動産会社に言われました(1)
2022年8月4日
不動産の売買では、多くの場合、「土地登記簿」の登記面積を用いる「公募売買」で契約が行われます。しかし、不動産の売買において境界の確定は不可欠。そこで必要になるのが、測量です。今回は不動産売買の重要項目、境界と測量について説明していきましょう。
境界の復元が住宅ローンの条件に
前回、「売買契約の前に土地の面積が確定していないとき(=境界が確定していないとき)、土地登記簿の表示面積で契約する場合がほとんど」と申し上げました。では、以下のようなケースではどのように対応していくのでしょう。
例えば、土地登記簿の記載では土地の面積は201平方メートル。そこで、201平方メートルで売買契約を結んだとします。決済日は翌々月の末日と決まり、「測量図が古いので確定測量を実施して境界を確定させましょう」ということになりました。
いざ、今の技術で測り直してみたところ、なんと、198平方メートルしかありません。登記簿に記載されている数字なので正確そうに思えますが、こうした誤差は、実は、珍しくないことなんです。こんな場合、買主様が「面積が小さくなったのだから、その分、代金を安くしてほしい」と考えてもおかしくありません。
土地登記簿を用いた契約では、こうした懸念があるため、特約を入れて契約を交わします。具体的には、「売買契約は公募売買とする。確定測量の結果、敷地に大小があったとしても、差額の清算はしないものとする。異議申し立てはできません」という一文を入れておきます。
通常の場合、誤差はせいぜい1〜2平方メートルに留まり、大幅にズレることはほとんどありません。買主様には事前に「確定測量は売主様の負担で行い、決済日までにきちんと境界を入れ直します」と説明。測り直した測量図は、決済の日に買主様にお渡しする約束で契約を進めます。
さらに言えば、買主様が住宅ローンを利用する場合、確定測量を実施して、境界を復元することが融資の条件になります。境界が確定していない物件に数千万円の融資は認められないからです。
境界杭が失われていたら測量は必須
では、どのような場合に不動産会社は確定測量を勧めるのでしょう。
不動産会社は現地査定のとき、土地と建物を調べます。建物のコンディションを確かめるのはもちろん、測量図を見ながら土地の状態を確認していきます。ここでポイントとなるのが、土地の境界を示す「境界杭」です。
ひと口に境界杭と言っても形状はさまざま。石やコンクリートを打ち込んだものもあれば、金属製のプレートや鋲を貼り付けただけのものもあります。特に後者の場合、風雨にさらされ失われてしまうことも珍しくありません。
境界杭が失われてしまっている場合、測り直して再設置する必要があります。不動産会社はこのことをきちんと売主様に伝えなければなりません。なぜなら、確定測量にはそれなりの費用がかかるからです。
測量は土地家屋調査士に依頼します。道路との境界や隣地との境界が確定していない場合は官公署や隣地所有者の立会いが必要になります。官民の立会いが必要な確定測量の場合、費用は50万円を超えるケースもあり、期間もかかりますから気をつけてください。
不動産会社の情報提供が的確なら、「50万円も費用がかかるのなら、売り出し価格をもう少し上げてほしい」「仲介手数料と測量費用を見越して、価格設定をちょっと高めに」など、あらかじめいろいろな対処方法が考えられます。言い換えれば、現地査定の段階で境界や測量の話が出ない不動産会社は要注意と言えるでしょう。
弊社ではセカンドオピニオンの査定を無料で承っています。取引に疑問や不満を感じている売主様、ぜひ一度ご相談ください。