不動産を売ったら、確定申告が必要ですか?
2023年2月2日
「不動産を売ってお金を貰ったらそれで終わり」と思い込んでいませんか?意外と知らない方が多いのですが、基本的に確定申告は必要です。不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合はもちろん、損失が出てしまった場合でも確定申告をしたほうが税金を抑えられる場合があります。
★ズバリ、確定申告は必要です!
皆さんの住まいが購入した価格より高い価格で売れると利益(譲渡所得)が生じます。とても喜ばしいことですが、この譲渡所得には税金がかかることを覚えておいてください。
税金がかかるといっても、例えば2,500万円で購入した住まいが3,000万円で売れた場合、その3,000万円に課税されるわけではありません。税金がかかるのは、譲渡価格(売却価格のこと。この場合、3,000万円)から、住まいの取得費用や譲渡で発生した諸費用と特別控除を差し引いた「課税譲渡所得」に関してです。
譲渡価格から差し引くことができる主な項目は以下の通りです。
○取得費(住まいを手に入れた際にかかった金額)
・住まいを購入したときの購入代金
・建物の建築代金(償却費相当額を控除)
・購入時の登録免許税、不動産取得税、契約書の収入印紙代
・不動産会社への仲介手数料
・土地の造成費用や測量費、整備費など
○譲渡費用(住まいを売るときにかかった金額)
・不動産会社への仲介手数料
・測量費
・契約書の収入印紙代
・建物の損失額など
○特別控除(要件に当てはまると差し引ける金額)
・最高3,000万円(自分が住んでいる土地・家屋を売却した場合)など
※古くからの持ち家のため取得費用がわからない場合は、譲渡費用の5%を取得費として計算します。
★いろいろな控除があり納税額を抑えられる可能性も
譲渡所得には、所得税と住民税がかかります。このうち、確定申告で収めるのは所得税です。譲渡所得は、分離課税として給与所得や事業所得など他の所得とは分けて計算します。
確定申告は、1月1日から12月31日までの所得について、翌年の2月16日から3月15日までに申告を行います。つまり、住まいを売却した翌年の確定申告の時期に「住まいを売却しました。譲渡所得がありました」と申告するわけです。
逆に、住まいを売却したことで損失が出てしまった場合はどうでしょう。購入価格よりはるかに安く売った場合は税金の免税があります。したがって、損失が出た場合も確定申告はぜひ行うべきだと言えるでしょう。
では、「面倒だから」といった理由で確定申告を行わなかった場合はどうなるのでしょうか。すべての不動産は登記されており、権利関係が移転するとわかるようになっています。そのため、確定申告を行なっていないと「不動産を売却しましたね?譲渡所得がありましたか?」という内容の通知ハガキが税務署から届くことになるのです。
「黙っていれば払わなくても済むかも」などということは、こと税金に関してはあり得ないと考えたほうがいいと思います。確定申告を行なっていないと税務署から間違いなくチェックが入ります。納税が遅れれば遅れるほど追徴などで割高になることもありますから、気をつけましょう。
確定申告を行うことによって、住まい(居住用財産)の3,000万円特別控除や、住まいの所有期間が5年を超えるものや10年を超えるものについては税率が下がるなど、いろいろな特例があります。繰り返しになりますが、利益が出ても出なくても、確定申告は行なっておくべきです。
★書類を揃えておくことが重要
実際の確定申告では、税務署の相談窓口や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。皆さんがやるべきことは、物件取得時と譲渡時の契約書や領収書といった書類を揃えておくことです。
実際のところ、住まいを売却した後の確定申告や税金に関することまでフォローしている不動産会社はあまり多くなく、正確な知識を持っていない営業マンも少なくありません。言い換えれば、売買の決済が終了した後、翌年の確定申告のことまできちんと配慮してくれるのはとても良心的な不動産会社だと言えるでしょう。
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