売買契約を締結する際の重要書類(2)付帯設備表とは?
2022年1月10日
売主様が買主様と売買契約を締結する際、「物件状況報告書」と並ぶ重要な書類が「付帯設備表」です。この書類も、マンション、戸建を問わず必須の書類となっています。
今回は、この付帯設備表についてご説明しましょう。
■付属している設備の状況を説明する書面
付帯設備表は、売買契約締結の際、主に建物に付属している設備の状況を細かく説明する書面です。
買主様は内見のときに建物を見ていますが、細かいところまではわかりません。
「ウォシュレットは付いていたかな?」「浴室乾燥機は?」「床下収納付いていたかな?」といったことまでは記憶していないわけです。
そこで、現状備わっている設備に関して、細かいところまで書面に記しておきます。
書面では、洋室、和室、キッチン、トイレなど、部屋と場所ごとに、たとえば、エアコンの台数、作り付けの戸棚の有無、ガスコンロは3口なのか、IHなのかなど、付帯設備を漏れなく詳細にチェックしていきます。
そして、「このような状況で引き渡すことができます」と明らかにし、お客様にお知らせするのが付帯設備表です。
■マイナス面も包み隠さず明記する
付帯設備表で大事なのは、物件状況報告書と同様にマイナス面やネガティブな事柄も、知るうる限り包み隠さず記載することです。
住まいは何年も住み生活していれば当然不具合や調子の悪いところも出てきます。
たとえば、「ガスコンロの点火にちょっと時間がかかる」「洗面所の水を止めると、しばらく雫が滴る」など、そういった仔細なことも「たいしたことじゃないから、ま、いいか」と放っておかず、この書面できちんとお客様に伝えるべきです。
さもないと、家を引き渡した後に「なんかコンロの火がすぐ点かないんだけど」「洗面所の蛇口がきちんと閉まらない」など、トラブルやクレームの元になってしまいます。
よくあるのが、小さなお子さんやペットがつけてしまった傷や凹みです。
「猫が爪を研いでしまいクロスがボロボロ」「子供が遊んでいて穴を開けてしまった」、そういった箇所がありながら、内見の際に買主様が気づかなかったり、体裁が悪いので家具で隠していたり。これを申告せず、そのままにしておくと、後になって発覚した場合、間違いなくトラブルに発展します。
■エアコンや照明器具は全撤去が基本
それぞれの窓に網戸が何枚付いているか、その中の1枚に破れがある、一部にほつれがある、といったことも付帯設備表に記入します。
さらに大事なのがエアコンや照明などの電気器具について。
電気器具は全て撤去するのが基本です。売主様が設置したエアコンや照明器具は、原則として全て取り外さなくてはなりません。
ただし、これには例外もあります。
売主様がエアコン2台を置いていきたいと考え、お客様が了承すれば、置いていくことは可能です。
この場合、付帯設備表に「エアコン2台付き」と記載します。
また、2台のうち1台が新しく、1台が古かった場合に「新しい1台しか要りません」と言われた場合には、古い1台だけ撤去し、付帯設備表には「エアコン1台付き」と記載するわけです。
このように、売主様と買主様が事前に合意していれば、エアコンに限らず、例えば室内に取り付けたハンモックや洗濯物干し、庭に置いてある物置なども置いていくことができます。
売買契約締結時に「これは置いていく」「これは撤去」とチェックしていきますので、付帯設備表は双方の意思を明文化する重要な書類のひとつと言えるでしょう。
■まとめ
付帯設備表は物件状況報告書と同様に、買主であるお客様を守るとともに、売主様を守る書面でもあります。
売買契約時に記入した付帯設備表の内容を買主様が了承していれば、この部分の契約不適合責任は免責になります。
「お客様はここに記載した内容を理解した上で購入しました」ということになるからです。
逆に、記載されていない箇所があり、引き渡し後にクレームが入った場合、契約不適合責任を問われることがあります。
後々のトラブルを防ぐために、故障気味な箇所や欠落部分については、正直にありのままを明記することが肝心です。
当社は、住まいの売出しからお引き渡しまで売主様をきめ細かくサポートします。どうぞお気軽にご相談ください。