不動産売却の際にどれくらいの費用がかかる?
2018年6月8日
家を売るとき、売れた金額=手元に残る金額、と思っていませんか?
不動産売却には、様々な諸費用がかかるため、売れた金額がそのまま残るわけではありません。売れた金額から諸費用を差し引いた額が手元に残るお金となります。
買い替えの場合、売却金額を新居の購入資金に充てることも多いでしょう。
最初に諸費用がどれくらいかかるか把握しておかないと、「高く売れたと思ったけどお金が足りない」「新居のインテリア費用がない」など、あとで慌てることにもなりかねません。
そうならないためにも事前に資金計画をしっかり立てておきたいものです。どんなときにどれくらいの費用が必要になるのか、あらかじめチェックしておきましょう。
諸費用には必ずかかるものと、必要に応じてかかる費用があります。また、一戸建ては要るけれどマンションは必要ないなど、物件によってかかる費用も異なります。
今回は、売却の際に必要な費用についてご紹介いたします。
売却時の諸費用はこれだけかかる!
基本的にかかる費用と、場合によって必要なお金とがあります。
諸費用として必要なもの
“基本的にかかる費用”
・仲介手数料
・印紙税
・抵当権抹消登記費用
・司法書士への報酬
“場合によってはかかる費用”
・譲渡所得税
一戸建て住宅を売却した場合の諸費用を試算してみましょう。
売却価格 2,200万円の場合
諸費用の内訳
仲介手数料 | 777,600円 |
印紙代 | 10,000円 |
抵当権抹消登記費用 ※1 | 2,000円 |
司法書士への報酬 ※2 | 10,000円 |
諸費用の合計 | 799,600円 |
※1 登録免許税 不動産1件につき1,000円。土地と建物で1,000円+1,000円=2,000円
※2 司法書士に依頼しない場合はかからない。複数の金融機関からローンを借りているときなどは金額がアップする可能性がある。
譲渡所得税は0円です。
たとえローン残債と同じ金額で売れたとしても、799,600円の赤字に!これ以外に、住宅ローンを返済する際の事務手数料が必要となる場合があります。
また、家族で引っ越しをするなら10万円前後は必要となりますし、新居のインテリア費用も捻出できません。ローンと同額で売れても「良かった」とは手放しでは喜べない感じですね。
さらに新居を購入する場合は、諸費用がかかります。新築で物件価格の3~5%、中古で5~10%が目安です。
たとえば4,000万円の5%は200万円となり、かなり大きな金額になります。
売却時にかかる費用の内訳
基本的に必ずかかる費用と、物件や条件によってかからない費用とに分けてご紹介いたします。
基本的にかかる費用
仲介手数料
家は個人で買い手を見つけるのが難しいため、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的となっています。不動産会社に仲介を依頼して、買い手が見つかった場合に成功報酬として支払うお金が仲介手数料です。仲介を依頼しても買い手が見つからず取引が成立しなかった場合は支払う必要はありません。仲介手数料の上限額は、宅地建物取引業法(宅建業法)で定められています。
仲介手数料(上限金額)の計算方法
・200万円以下の場合;売買金額×5%(税別)
・200万円を超え400万円以下の場合;売買金額×4%+2万円(税別)
・400万円を超える場合;売買金額×3%+6万円(税別)
会社によっては、手数料を何割か割引したり、半額にしたりというサービスを打ち出しているところもあるようです。
できるだけ出費は抑えたいところ。ただし金額の安さだけで会社を決めるのではなく、信頼して任せられるか、どのような営業活動をしてくれるかなど、売却実績も吟味してから選ぶようにしましょう。
不動産会社を通さずに、個人で売買すれば仲介手数料や消費税はかかりません。ただし、家は大きな買い物。希望の価格で買ってくれる人を探すのは大変です。また、購入後に建物に破損が見つかった場合などの責任をどうするか、本来は細かく決めておく必要があります。法律も熟知している会社に任せたほうが安心でしょう。
印紙税
買主と取り交わす不動産売買契約書には、収入印紙を貼って割印をして納税します。
印紙代は売買価格によって異なります。
印紙代
たとえば、契約金額が3,000万円の場合、下記の表により印紙代は10,000円となります。
売買価格 | 印紙代 |
1万円を超え50万円以下 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 30,000円 |
1億円を超え5億円以下 | 60,000円 |
5億円を超え10億円以下 | 160,000円 |
10億円を超え50億円以下 | 320,000円 |
50億円を超えるもの | 480,000円 |
登録免許税
住宅ローンを借りていて抵当権がついている場合は、残金を返済し抵当権を抹消してから買主に引き渡します。 抵当権抹消手続きについては、登録免許税が必要で、収入印紙で支払います。
一戸建ての場合
不動産1件につき1,000円
土地と建物で通常は1,000円+1,000円=2,000円
敷地権化された分譲マンションの場合
ひとつの土地でも複数に分かれている場合があり。抵当権設定契約書の「物件の表示」の欄を確認します。
たとえば、敷地権の表示が2つに分かれていたら2件となります。
敷地権2件と専有部分の建物1戸で2,000円+1,000円=3,000円
登記費用
抵当権抹消手続きを司法書士へ依頼する場合は、5,000円~15,000円程度の報酬が必要です。
引っ越し関連費用
引っ越し業者に依頼する費用や、新居に合わせたインテリア購入費用も考えておきましょう。
住宅ローンを完済する場合、繰上返済の手数料
金融機関によって金額が異なりますので、事前に確認しておきましょう。
場合によってはかかる費用
譲渡所得税
不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税がかかります。
買ったときより高く売れた、買い替えの際に売れた金額のほうが高かったときです。税率は不動産の所有期間によっても違います。
一方、買ったときより安い金額でしか売れなかった場合は、譲渡所得税はかかりません。譲渡所得の計算方法は以下の通りです。
譲渡所得=売却代金-(取得費+譲渡費)-特別控除額
※取得費:購入したときの金額から所有期間中の減価償却費を引いた金額、購入時の仲介手数料、印紙税、登記費用、リフォーム費用などの経費
※譲渡費:不動産を売却するための仲介手数料、印紙代、測量費など。
上記の計算で3,000万円以下であれば税金はかかりません。
不動産売却の際には、仲介手数料を始め意外と多くの費用がかかります。売買契約時に印紙代や仲介手数料の半金を支払い、残金決済時に残りの仲介手数料や抵当権抹消費用などが必要です。
住宅ローンが残っている場合、ローンと同額で売れたとしても諸費用分の赤字が出てしまいます。
引っ越し代や新居のインテリア費用も必要になるので、事前にしっかりとした資金計画をしておくようにしましょう。